セレンゲティの雨基金

マティンデさんとウィルソンくん卒業(2012年2月)

プロジェクト責任者: 岩井雪乃

マティンデさんとウィルソンくんが2011年11月に中学校を卒業しました!この1年の彼らの様子をお伝えします。

photo
photo

卒業して村に帰ってきた二人、岩井とともに

2011年7月 卒業試験に向けて猛勉強

二人は昨年、よりよい教育環境を求めて2度目の転校しました。三つ目の学校、コリラ中学校で、いよいよ卒業試験に向けてラストスパートに入る時期です。卒業試験は11月。このテストの成績で、高校に進学できるかどうか、どのレベルの高校に行けるかが決まります。

受験生の4年生は、学校も特別待遇で試験の準備をしてくれます。ふつうは6月半ばから7月半ばまで、1か月間の夏休みがあります。4年生はそれが2週間ほどに短縮され、休み中も試験に向けて授業が開かれます。塾に行くとお金がかかるので、学校で補講してくれるのは経済的にありがたいことです。二人とも、一人親のお母さんの期待、きょうだい達の期待を一身に背負っています。ぜひ、期待に応える結果を出してほしいところ。

2011年11月 中学卒業試験

終わった時は、二人とも自信満々そうで「結果を楽しみにしていて」と言っていました。中でもウィルソンは、8月にあった模擬試験でよい成績をとっていたので、家族の間でも期待の星でした。

photo

料理を手伝うウィルソン。
村では「料理は男のやることではない」という規範があるが、
彼は母を助けるためにどんな仕事もすすんでやる。

2012年2月 試験結果発表

私がタンザニアに行っている最中に、ちょうど結果発表がありました!その結果・・・残念ながら二人とも高校に進学する成績を取れなかったのです(AからCは進学できるが、Dだった)。コリラ中学校4年生80人のうち、高校進学資格を取れたのは7人でした。残念ながら二人ともこの上位には入れなかったのです。

よりよい教育を求めて、はるばる600kmも離れたキリマンジャロ州にまで学校を探しに行って転校させたのにこの結果・・・私も二人の母たちも大ショックでした。親せきの中には「お金をドブに捨てたようなものだ!」と怒る人もいました。

もちろん当人たちもショックを受けています。特にウィルソンは、父親がいない家庭の長男で、下には弟妹が3人います。お母さんは大きな期待をしていました。本人も、自分がよい学校に進学して就職して、母親を楽にしてあげたい、弟妹の学費を工面してあげたい、という責任感を強く感じて、勉強も一生懸命がんばっていました。ウィルソンもお母さんも、その落胆ぶりが伝わってきて、私も何と声をかけたらいいか困ってしまいました。

このように振るわない結果となり、雨基金で支援いただいたみなさまに申し訳ない限りです。私としても、とても残念に思っています。

photo

ウィルソンから支援者の原田さんと寺嶋さんへの手紙、日本語にも挑戦。

背景分析:タンザニアの近年の中高等教育事情

この結果は、もちろん本人の努力が足りなかったのが問題ですが、それに加えてタンザニアの変化する高等教育事情も要因としてあります。タンザニアは、2000年に入ってから中等教育の強化に取り組み、中学校の数を増やすことに成功してきました。90年代では、中学に進学するのは10人に一人でしたが、現在は10人中9人が中学に行きます。その一方で、高校の数はそこまで増えていないため、中学の中でもトップレベルの成績を取らないと高校には行けません。残念ながら、二人はそこまでおよびませんでした。

これから

高校(High school、2年制)の資格は取れなかったのですが、専門学校(collage、1年制)に行くことはできます。そこで、専門学校に行って技術や資格を身につけ、そして就職を探す、という方向を検討中です。私としては、将来的には村に戻ってきてほしいので、村の生活で役立つ(かつ収入につながる)専門性に進んでほしいものです。果たして、そのような分野はあるのか? 彼らとともに考えたいと思います。

更新日: 2012-07-13, 作成者: AFRIC Africa