セレンゲティ・人と動物プロジェクト
2009年度活動報告(2009年6月−2010年5月)

プロジェクト責任者: 岩井雪乃

1.目的

このプロジェクトは、タンザニアのセレンゲティ国立公園の周辺で、人と動物が共存できる社会づくりを目指して、奨学金支給による人材育成をしています。

国立公園の周辺では、自然を保護することによるネガティブな影響が発生します。保護区から出てきたアフリカゾウが、畑を荒らしたり人を襲ったりします。政府や外国資本の企業によって、住民の土地が保護区に奪われてしまうことも起こります。

 

セレプロでは、このような自然保護に関わる問題を、住民自身が解決できるようになることが重要だと考えています。自衛策を開発したり政府に働きかけたりすることが必要になりますが、それを外部の人間ではなく、住民自身ができるようにならなくては、ほんとうの「人と動物の共存」はありません。村の未来を自分たちで切りひらく!そんな人材を育てることを目指しています。

2.2009年度給付実績

  奨学生氏名 性別 年齢 就学先 給付金額(円) 備考(昨年度からの関係)
1 モテンバ・チャンガ 26 財政管理大学 166,600 雨基金、卒業
2 ワンブラ・マシンデ 27 タンザニア・
ビジネス大学
0 卒業
3 マティンデ・ジュマ 18 ロンベタ中学校 29,400 雨基金
4 ウィルソン・ムゴシ 17 ロンベタ中学校 68,600 雨基金
  合計       264,600  

3.奨学生の状況

(1)モテンバ・チャンガ Motemba Changa (男)26歳 財政管理大学3年生

タンザニアの最大都市ダルエスサラームで、経済系の名門大学で社会保障制度について学んできました。最終学年の3年生で、7月には卒業試験を受けて卒業します。タンザニアでは、それから就職活動が始まります。松田さん(石川県)から支援を受けています。右がモテンバ。夏休みで帰省中。左はアフリック奨学生ワンブラのお父さん。真ん中は、岩井と同行した学生の森さん。ロバンダ村にて。


(2)ワンブラ・マシンデ Wambura Masinde(男)27歳 タンザニア・ビジネス大学卒業

2009年7月に卒業したワンブラは、その後、順調に人生を築いています。在学中に知り合った彼女と遠距離交際を成就させて、8月に結婚しました。周囲からは、「まだ就職も決まっていないのに、早すぎるのでは・・・」という声もありましたが、二人の決意は固かったようです。ワンブラは、その勢いで就職活動もがんばり、3月に鉱山採掘会社に就職しました。そして、5月には長男が誕生!次に行ったときには、出産祝いをださなくては!めでたいこと続きで、支援してきた私としても、とてもうれしいです。

photo

photo

ワンブラに結婚祝いを送る
ワンブラの奥さんグレース
(3)マティンデ・ジュマ Matinde Juma(女)18歳 ロンベタ中学校4年生

全寮制の中学に転校して、勉強に専念できる環境になりました。4年生は、中学最後の学年。来る11月には、全国一斉卒業試験があります。この成績で、高校に進めるかどうかが決まります。現在、試験に向けて猛勉強中です。

(4)ウィルソン・ムゴシWilson Mgosi(男)17歳 ロンベタ中学校3年生

長男として、母の期待を一心に受けつつ、勉強しているウィルソンです。マティンデと同様に、昨年、全寮制のこの学校に転校しました。転校直後は、環境に慣れるのに精一杯でしたが、徐々に勉強にも身が入る体制になりました。
原田さん(大阪)、寺嶋さん(東京)から支援を受けています。

4.来年度の展望

大学を卒業したワンブラが、就職できてほっとしています。もともと産業があまりないタンザニアですので、大学を出ても、就職するのは簡単ではありません。ワンブラの努力と幸運が重なったのだと思います。

しかし、村の未来を担う人材育成を目的としているセレプロとしては、奨学生が都市に就職してしまい、村には帰ってこないのは残念でもあります。村には、給料を取れるような仕事がなく、農業が基本なので、サラリーマンになりたかったら都市で働くしかありません。ワンブラも、前の卒業生のマベンガも、地元に近いところで働きたいのはやまやまなのですが、現実は口がないのです(もちろん、都市で働いているからといって、村との関係が途切れるわけではなく、彼らはかなり深く村にコミットしていますが)。

結局、日本も同じですよね。若者が帰りたくても仕事がない。だから過疎高齢化が進む・・・。近年のタンザニアで高等教育への進学率が高まっていく中で、村の未来はどうなるのでしょうか?セレプロの支援のあり方も問われていると思っています。

更新日: 2010-09-03, 作成者: AFRIC Africa