セレンゲティ・人と動物プロジェクト
2007年度活動報告(2007年6月−2008年5月)

プロジェクト責任者: 岩井雪乃

1.目的

このプロジェクトは、タンザニアのセレンゲティ国立公園の周辺で、人と動物が共存できる社会づくりを目指して、奨学金支給による人材育成をしています。

国立公園の周辺では、自然を保護することによるネガティブな影響が発生します。保護区から出てきた動物が、畑を荒らしたり人を襲ったりします。あるいは、政府や外国資本の企業によって、住民の土地が保護区に奪われてしまうことも起こります。

 

セレプロでは、このような自然保護に関わる問題を、住民自身が解決できるようになることが重要だと考えています。自衛策を開発したり政府に働きかけたりすることが必要になりますが、それを外部の人間ではなく、住民自身ができるようにならなくては、ほんとうの「人と動物の共存」はありません。村の未来を自分たちで切りひらく!そんな人材を育てることを目指しています。

2.2007年度給付実績

  奨学生氏名 性別 年齢 就学先 給付金額(円) 備考(昨年度からの関係)
1 モテンバ・チャンガ 24 財政管理大学 200,600 雨基金
2 ワンブラ・マシンデ 25 タンザニア・
ビジネス大学
94,400  
3 ニャマリワ・ジョン 20 イコマ中学校 0 07年11月卒業
4 マティンデ・ジュマ 16 イコマ中学校 35,400 雨基金
  合計       330,400  

今年度は、昨年度も支援している4名を引き続き支援しました。

3.奨学生の状況

(1)モテンバ・チャンガ Motemba Changa (男)24歳 財政管理大学1年生

高校卒業後、タンザニアで名門の経済系の学校に、運よく進学できることになりました。はりきって勉強しています。雨基金で石川県の松田さんに、高校のときから支援されています。07年8月には、松田さんがモテンバの村を訪れ、対面を果たしました。

(2)ワンブラ・マシンデ Wambura Masinde(男)25歳 タンザニア・ビジネス大学2年生

彼の大学は、タンザニアの最大都市ダルエスサラームの中心街にあり、とても便利のいいところです。しかし、生活は大変です。寮に入りたい学生が多いので、本来は3人部屋の部屋に7人で暮らしていました。1つのベッドに2人ずつ寝ます。寮では水があまり出ない上に、水道の水は安全ではないので、飲み水を買わなければなりません。ダルエスは連日30度を超える気候。飲み水の出費は大きな負担になっています。
2年目は企業実習もやっています。友達と助け合いながら、勉強しています。

(3)ニャマリワ・ジョン Nyamariwa John(女)20歳 イコマ中学校卒業

ニャマリワが卒業しました。留年、転校、またもとの学校に戻るなど、心配の尽きない彼女でしたが、なんとか卒業できました。卒業試験の成績は、残念ながら芳しくなく、高校には進学できませんでした。しかし、村を盛り立てていくことも重要な役割なので、彼女には村で活躍できることを見つけてがんばってほしいと思います。 進学してどんどん若者が出て行く現象が、タンザニアの田舎の村でも始まっています。村の活気がなくなってしまわないか、心配です。

(4)マティンデ・ジュマ Matinde Juma(女)16歳 イコマ中学校2年生

親戚の家に下宿しながら学校に通っています。勉強できることがうれしくてたまらない、と話していました。同級生には、妊娠して退学していく女子がたくさんいます。マティンデも、親戚の家にいるとはいえ、常にさまざまな誘惑にさらされています。早く学校に女子寮ができるといいのですが。

4.セレプロ奨学生の活躍

2004年卒 エドワード・マチェゲ(26歳)

セレプロで2004年度まで支援していたエドワードが、とうとう念願のドライバーに就職して、誇らしげに制服姿を見せに来てくれました!彼の未来を憂いていた私は、うれしくて、うれしくて、仕方がありません!!  
エドワードは、両親も頼れる親戚もいない、不幸な境遇の少年でした。そんな彼が、警備会社のドライバーという、大好きな運転の仕事に就いたのです。面接試験に臨んだときは、彼よりも年上の男性が8人も来ていたので「とてもダメだ」と思ったそうです。しかし、結果的には一番若いエドワードが採用されたのでした。同僚になった人たちも驚いていたそうです。  
夜勤もあるし、時には強盗と戦わなければならないハードな仕事ですが、ぜひ、長く勤めてほしいです。

5.来年度の展望

5年前に隣村(といっても30km離れている)に中学校ができて以降、小学校から中学校への進学率は、10%から80%へと劇的に高まりました。喜ばしいことである一方、村から若者が流出するルートが確立されてしまったことに、不安も感じてしまいます。高学歴化した日本があまり幸せには見えないからでしょうか。タンザニアらしい村の未来像を、人びととともに考えていきたいです。

更新日: 2009-02-01, 作成者: AFRIC Africa