『FENICS100万人のフィールドワーカーシリーズ第11巻:衣食住からの発見』佐藤靖明・村尾るみこ=編

紹介:藤本麻里子

本書は様々な地域で現地調査を行うフィールドワーカーの体験を綴ったフィールドワーク体験記です。全15巻のシリーズ本のうち第11巻が2014年5月に公刊されました。アフリック・アフリカ会員が編集にも携わり,世界中のあらゆる地域におけるフィールドワークにおける体験が,9つの章と3つのコラムで綴られています。目次は以下の通りです。

イントロダクション 衣食住からの発見(佐藤靖明・村尾るみこ)
Part1 信頼関係の構築
1.アマゾンの村での飲み食い—フィールドワーカーは「村人」になれるのか(大橋麻里子)
2.酒が主食の農村で(砂野 唯)
コラム1 家を建て、村に住まう(村尾るみこ)
Part2 新たなテーマの開拓
3.家畜キャンプにたどりつくまで—東アフリカ牧畜民の移動と紛争(佐川 徹)
4.西アフリカ都市で着る・仕立てる(遠藤聡子)
コラム2 旅する「モラン」(戦士)と赤い布—ケニア、マサイ系牧畜民・サンブルの地にて(中村香子)
Part3 日常生活を支える工夫
5.南極におけるフィールドワークの生活技術  (菅沼悠介)
6.半乾燥地サヘルでの食事調査(石本雄大)
7.神出鬼没のチンパンジーを追って—予定の立たない森での生活(藤本麻里子)
コラム3 欲の根源は食欲(阿部幹雄)
Part4 調査生活で見出す世界のつながり
8.難民について調査する—食からみる難民社会へのかかわり方(久保忠行)
9.サンゴ礁の海に暮らす(里見龍樹) 
編集後記

全9章と3つのコラムのうち、5つの章と2つのコラムがアフリカを調査地とする研究者によって執筆されています。フィールドワーカーが現地に滞在するのは、様々な研究テーマに沿ったデータを収集することが目的です。しかし、データ収集を行うためにはまず、日本とは大きく異なる現地での生活に適応する必要があります。そして現地の人々と信頼関係を築き、様々なことを教わったり助けられたりしながら調査を行っていきます。本書では、アマゾンの密林、アフリカの高地・半乾燥地や都市部、ソロモン諸島の海辺、南極など多様な環境でフィールドワーカーたちが日常生活に適応し、人々と交わり、やがて充実した現地調査を達成する様子が紹介されています。研究分野も自然環境も全く異なる13人の編著者の貴重な体験記が凝縮された一冊です。紹介者はタンザニアの国立公園において野生チンパンジーの調査を行った1年間のフィールドワークの体験について執筆しました。チンパンジーを観察するためには、森でチンパンジーを探し出し、見失わないように追跡できることが大前提となります。野生動物が相手であるが故の困難や、それを助けてくれる現地スタッフとの関係構築などについて執筆しました。本書では、世界の様々な環境における衣食住の在り様と、フィールドワーカーが日本とは大きく異なる生活に適応する過程をリアルに感じられることと思います。

関連URL(古今書院):http://www.kokon.co.jp/book/b178418.html

更新日: 2014-12-09, 作成者: AFRIC Africa