映画『マンデラの名もなき看守』

おすすめ:岩井雪乃

12月5日、ネルソン・マンデラさんが亡くなった。今回は、マンデラさんを追悼する意味で、彼の人柄やアパルトヘイト撤廃に導いた闘争を理解する映画を紹介したい。

私が、マンデラさんが特別な人物であることを実感したのは、ヨハネスブルグにあるアパルトヘイト博物館を見学してからだ。そこでは、警官隊との衝突で黒人市民が殺される映像が流されており、非業の死を遂げたたくさんの活動家が紹介されていた。そんな多くの命の犠牲の上で、ようやくアパルトヘイト撤廃は実現した。では、なぜマンデラさんは殺されずに生き残り、活躍することができたのか?この映画は、この疑問に答えてくれるものだ。

映画は、27年間投獄されていたマンデラさんの看守が主人公だ。彼の目を通して、マンデラさんの人物像が描き出されている。暴力や脅迫に屈しないのはもちろんのこと、釈放や高い地位などの甘言にも懐柔されることはなかった。獄中にいながらも、外の反アパルトヘイト運動に大きな影響力をもち、刑務所内では囚人仲間を教育して人材を育成していた。そうして広範な支持を集めた人物だからこそ、南アの黒人社会はもちろんのこと、国際的な視線もマンデラさんの状況を注視していた。そのために、南ア白人政府はマンデラさんを亡き者にすることができなかったのだ。

映画の中のマンデラさんは、強い意志をもち、ぶれないし揺らぐことのない人物として描かれている。実際にそうだったのだろう。暗殺かもしれない息子の死、多くの仲間の死を乗り越えて、27年間獄中にいながら方向性を変えることなく、全人種が自由に暮らす国を実現したのだから。「不屈の闘志」と呼ばれるゆえんである。

映画は、マンデラさんが釈放されたところで終わる。自由になってからは、大統領になりノーベル平和賞も受賞した。長い獄中生活だったが、その後の日々を充分にまっとうされたと願いたい。

彼の不屈の精神は、私たち日本人も受け継がなければならない。脱原発デモや秘密保護法案反対デモなど、日本の社会にも問題がありそれに対して運動している。権力に屈せず、何十年でも継続する強さをマンデラさんのようにもち続けたいと思う。

更新日: 2013-12-12, 作成者: AFRIC Africa