『現代アフリカ農村―変化を読む地域研究の試み―』 島田周平 著

紹介:村尾るみこ

 

新しい年になり、時代がすすむにつれ、日本に住む私たちと、アフリカとの関わりは年々変化していると実感することがある。そうはいっても、アフリカとどのように関わっているか、おそらくこの愚見を読んでいるみなさんとアフリカとの関わりは多様であろう。まだアフリカとどうかかわっていきたいのか迷っている人もいるかもしれないし、一度行ったきりの人もいれば、どのような形でもアフリカと長らく関わり続けている人もいるだろう。

そうしたなかで、この本を手に取る多くの人は、アフリカ農村について特に知りたいと考える人たちではないだろうか。アフリカ農村/農民研究は、国内外で実に多様な研究者が取り組んでいるし、アフリカ農村/農民を対象として国際協力分野の第一線では自然保護から医療まで幅広い分野の専門家が活躍している。現代アフリカ農村を、これまでの研究を紹介しながら描出するこの本は、そうしたアフリカとのつながりを模索する多くの人をひきつける題材を提供している。

著者、島田周平氏は、大学で地理学を専攻し、大野盛雄氏の編著 『アジアの農村』 にめぐりあって地域研究という学問を志すようになった。地理学から地域研究への展開が容易でなかったことは、この本のところどころで示されている。そうしたこの本の魅力は、ザンビアというアフリカの小国に住む農民が、いかに同国の政治経済の変化を生き抜いたかを学際的に捉える面白さを示している点にある。著者は客観主義や形式主義という、さまざまな学問分野でも相対する分析をも視野にいれつつ、自らの「中途半端な」立場を明示し書きすすめている。アフリカと関わり、新たな知識と経験を得ながら乗り越えようとする人びとに、共感だけでなく示唆深い視点を与える理由がそこにあるだろう。

また、著者がザンビアの首都郊外にある農村にてフィールドワークを実施したのは、1990年代という、ザンビアの政治経済が激動の渦中にある時代であった。その時代以後のザンビア農村の変化を追うこの本では、村内の政治対立や土地問題やHIV/AIDSなど他のアフリカ農村が直面する問題群をザンビア農村がいかに経験したかに焦点があてられ、著者が断続的に実施したフィールドワークで得た情報資料により具体的に示されている。そこには平準化、モーラルエコノミーといった、アフリカ農村/農民研究での中心的な論点とも対峙しながら、ポリティカルエコロジー論という新たな視点でアフリカ農村の現代を導き出す、フィールドワークを基礎にした地域研究者としての著者の挑戦が見え隠れしている。

アフリカとさまざまな形でつながる人びとにとっても、それぞれの挑戦があるだろう。そうやって私たちは、どうやってアフリカと関わるか、立ち止まったり座り込んだりして考える。それでも、アフリカと関わった経験があるなら、その経験を温めることを楽しんでしまおう。そうしたとき、この本は、「あのときめぐりあった」一冊になるのではないだろうか。

更新日: 2012-01-06, 作成者: AFRIC Africa