『アフリカから学ぶ』 峯陽一、武内進一、笹岡雄一 編

紹介:大門 碧

 

アフリカに関する総合的な知識、そしてアフリカに対峙するときの重要な構えを学ぶことができる1冊だ。本書と同じ年に出版された『アフリカ学入門:ポップカルチャーから政治経済まで』(舩田クラーセンさやか編・明石書店)を「アフリカ学」初級と考えるならば、本書は中級と捉えていいだろう。丁寧に説明はしてあるものの、専門的な用語が飛び交っているため、話題にしているテーマの背景についてある程度知っておいたほうが読みやすいだろうと思われるからだ。全編15章と合間に挟み込まれるコラム9本によって本書は組み立てられている。執筆者は、コラム担当者を含めると総勢23名にも及ぶ。各章のコアにあるのは「自分はアフリカからこんなことを学んだけれど、みなさんはどうですか」というメッセージとのこと(p. B)。『アフリカ学入門』が「アフリカ」に初めて会いに行く人のためのガイドブックとすれば、本書は、すでに「アフリカ」と向き合い始めた人のための参考書としての活用が期待できるだろう。

大きく4つのパートによって本書は成っている。最初、第T部ではアフリカの歴史について振り返る。中心となっている第U部と第V部では、アフリカの中でも特にアフリカが直面している課題(紛争、教育、経済、エイズ問題)や、それに対する支援活動について具体的に紹介されている。全章をとおしてそうであるが、特に第W部では、未来のアフリカは、アフリカだけの問題ではないということが身にしみて実感されるような、アフリカと日本の私たちの関係を強く意識した文章が並んでいる。

本書の魅力のひとつは、各文章の合間からにじみ出てくる、著者がアフリカの人びとと出会い、交流したときのとまどいや興奮であろう。独立式典時に盛り上がる現地の人びと、難民キャンプで料理教室を楽しむ女性たち、ジンバブエの再入植した土地で知恵をしぼりあう農民たち。全編をとおして共通する姿勢は、アフリカのやり方に注目し、アフリカが実行していること、そのものを受け止めるというもの。先進諸国のものさしを使うのではなく、まずアフリカの方法や状況に真摯な態度で目を向けることが重要なのだ。すべての執筆者が、JICAやNGOの仕事にかかわった経験をもつ者たちであるため、現場感覚もしっかりと味わうことができる。アフリカが直面している課題(紛争、教育、経済、エイズ問題など)に興味を持ち、開発援助にとりくみたいと考えている人にとって、具体的に現場を知ることができる重要な1冊でもあるだろう。

「アフリカから学ぶ」という書名には、アフリカと向き合うことが、自分自身の身の回りや日本社会について考えるための重要なきっかけとなることを示唆している。この1冊を手にとって、身近にある自分たちの社会の矛盾を、アフリカから学んだことと比べて考えることを本書の編集者たちは望んでいる。「私たちもアフリカになにかを与えることができればと願う。だが、相互のつながりの中では、どちらかといえば、私たちがアフリカからもらうことのほうが多いのかもしれない。」(p. 426)意外と忘れがちなこの実感をぐっとかみ締めて、私もまたアフリカに、そして日本社会に向き合いたい。

更新日: 20011-11-01, 作成者: AFRIC Africa